産婦人科医 ドクターまんまのクリニック探訪

こんにちは。

まんまでございます。

 

女性の晩婚化、晩産化が進む中、血液を採取するだけで成熟しつつある卵子の数を推定出来る

「AMH(抗ミュラー管ホルモン)検査」

への関心が高まっています。

 

まず、卵巣の中には未熟な卵子を包み育てる、「卵胞(らんぽう)」と呼ばれる小さな袋がたくさんあります。

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さまざな段階の卵胞と排卵

卵胞は超音波検査でも見えないほどの小さな状態から始まり、卵子の成熟が進むにつれ、だんだんと発育し大きくなります。

最終的に20mmほどに育った「成熟卵胞(上図③)」と呼ばれる状態に達すると卵子を排出(「排卵」)し、この卵子精子と出会う事で受精が成立します。

 

AMHは、超音波検査では見えないレベルの小さな発育中の卵胞(上図②「発育段階の卵胞」)から分泌されるホルモンで、卵巣内にある、いずれ成熟し排卵に至るであろう卵子の数が多いほど、その分泌量は多くなります。

 

そもそも卵子の数は女性が生まれる前、お母さんのおなかの中の胎児の時が最も多く、その数は700万個ほどと言われています。そしてその後は新たに作られることがなく減る一方と考えられています。すなわち、胎児の時に600から700万個あった卵子が、出生時で200万個、思春期で20から30万個、37歳ぐらいで2万個、そして50歳で1000個程度になると考えられています。 また、これらの卵子が全て排卵に至るわけではなく、活発に発育している(=AMHを分泌している)卵胞内の卵子のみが成熟し最終的に排卵されると考えられています。

 

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卵子の数の変化

以上より、AMH値を知ることで、検査時の年齢における卵巣内に残っている成熟過程の卵子の数を推測する事が出来ます。

実はAMH値は個人差が大変大きく、若い人でも意外に低い値を示す場合もあります。

 

AMH値が低い場合は、卵子の成熟過程が何らかの原因でストップしているため、排卵まで思いのほか時間を要する事があります。

また、実は残っている卵子の数がとても少なく、このままだと早期に閉経してしまうという可能性があるとも考えられます。

 

逆にAMH値が高い場合は、卵子の数は十分あるのですが、何故か自然排卵が難しく、何らかの医療介入によって排卵がスムーズになる事もあります。

 

このように、AMH値を知ることは、ご自分の卵巣の状態を推測し、ご妊娠に向けて何らかの対策が必要か、そして、その対策は急ぐべきなのか否かといった、その後の人生設計を検討する一助になります。

妊娠を希望されておられる方はもちろん、妊活なんてまだ先…と思っている方にもAMH検査を活用して頂ければと存じます。

産婦人科医 ドクターまんまの北海道の歩き方

こんにちは。まんまでございます。

 

先日、愛機を連れて倶知安町虻田郡)に行って参りました。

 

倶知安町は、医師になる前の数年と医師になった直後の2年間を過ごした街でして、とても思い出深いところでございます。

「こころのふるさと」と申してもよいかも知れません。

 

当日は天候に恵まれ、街に吹く香りにもどことなく明るい雰囲気がただよい、

まもなくさくら色の風花も楽しめるようなここちがいたしました。

道内屈指の豪雪地帯にも、春はもうすぐそこまでやって来ています。

 

そんな倶知安町から臨む羊蹄山…山はまだほとんどが雪に覆われていまして、雲一つとない青空の下で静かに佇むその姿には、なぜか胸が熱くなってしまいます。

 

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向春の羊蹄山

天の青さに雪の白さのコントラスト眩しい蝦夷富士の威容を眺めていると、

不毛地帯山崎豊子)」の冒頭にある

「…冴えた冬陽の中で、天守閣の甍と塗籠の白壁がくっきりと空に聳えている…」

という一文を思い出しました。

 

不毛地帯」は好きな小説のひとつですが、不妊治療専門施設に勤務し、日夜妊娠率向上に心血を注いでいた自分と、プロジェクト成功に向け辣腕を振るう主人公を重ね合わせてこの小説を読んでいた、そんな名古屋時代に記憶の連鎖が飛んでいきました。

 

機会があれば、もう一つの「こころのふるさと」、名古屋のことも紹介したいと思います。

産婦人科医 ドクターまんまのクリニック探訪

こんにちは。まんまでございます。

 

妊娠に向けた治療は夫婦の協同作業ですし、妊娠そのものも卵子精子が1つになることで始まります。 

近年は、精子に関する情報に触れる機会が多くなっています。

そして、妊活中のご夫婦が来院された際、ご主人さまから「何か私に出来ることはありますか?」という質問を受けることが多々あります。

そこで、現在考えられている「精子に関する一般論」を下記にご紹介したいと存じます。

 

なお、当該ブログは以下の書籍、また、実際に石川先生のクリニックにお邪魔し、

石川先生の手術や診察を見学させていただく中で、石川先生から直接お伺いした内容を

参考にいたしております。

 

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「男性不妊症」

 

❶熱刺激

精子は温度刺激、特に熱刺激にとても弱いことが知られています。

例えば、何らかの原因で高熱を出し数日寝込んでいるだけで、一時的に精子量が極端に少なくなることがあります。また、長時間の座位、熱い風呂やサウナ、タイトな下着の着用等による陰嚢温度の上昇は精巣機能にとって望ましくありません。    

 

❷禁欲期間

 妊娠するために最適な精子が得られる禁欲期間についてでございますが、一言「溜め過ぎはよくない」に尽きます。

禁欲期間が11日以上となると、精子運動率、正常形態精子数が共に低下します。また、精子の数が少なめの方(乏精子症;精子数<2000万/ml)は、禁欲期間が1日の場合に精子運動率が最もよくなり、正常形態精子数が多くなるという報告があります。

精子は75日周期で常に新しく作られていますので、射精を繰り返す事で精子がなくなるということはありません。

適度な間隔での射精(夫婦生活が出来るなら、なおよい)を心がける、というのがよいようです。  

 

❸食事

 精液の所見は食事の影響を受けるという報告があります。

それによりますと、いわゆる「質素倹約型」、つまり魚、果物、豆類、全粒粉のパン、玄米中心の食事の方が、「西洋型」つまり、肉、甘味、高カロリー飲料、スナック菓子中心の食事より精液所見が良くなるとのことです。

また、ω(オメガ)3脂肪酸を多く含む食品を摂ると精子運動率、正常形態精子数共に上昇するという報告もございます。その他、ビタミンC、ビタミンE、亜鉛葉酸の摂取も効果的とのことです。   

いずれにしましても、バランスの良い食事を心がけたいものです。

 ※ ω(オメガ)3脂肪酸を多く含む食品    イワシ、サバ、サケ、タラ、ニシン、ブリ、カツオ、大豆、アブラナ、胡桃、ほうれん草、チンゲン菜等

 

❹タバコ

タバコが多くの疾患のリスク因子であることはよく知られていますが、精子へも悪影響を及ぼします。 

タバコは、精子濃度や運動率を10数%低下させ、また奇形率も増加することが知られています。さらに、精液中の白血球や活性酸素を増加させ、DNAへのダメージが増加します。

結局、タバコは赤ちゃんの突然死のリスクも上昇させますので、妊活を機に禁煙するのがベストかと存じます。 

 

 ❺肥満

BMIが高くなるにつれて、精液所見が悪くなるという報告があります。それによると、BMIが25以上で  「直進運動率」が低下し、BMIが30以上になると「精液量」、「精子濃度」そして「運動率」が低下します。    肥満は心臓、膝、腰への負担を増やし、生活習慣病を引き起こす可能性を飛躍的に高めます。 

健やかな毎日を送る…という点からも、適切な体重管理は重要です。

 

最後に、「過去に子種に恵まれているから自分の精子は問題ない、精液検査もする必要がない」…と考える男性が多く見受けられますが、精索静脈瘤による精液所見の悪化等、昔大丈夫だったから今も自分の精液は問題ない…ということは常にはあてはまらないと認識していただきたく存じます。

妊娠に向けた治療はご夫婦お二人で臨み、支え合いながら進めていくものであります。

また、妊娠に向けてなんらかの壁があるなら、それは女性だけでなく、男性サイドにも等しく直面する可能性がございます。

 

妊活は、まさに夫婦共同作業であるということを強調しておきたいです。

 

産婦人科医 ドクターまんまの北海道の歩き方

まんまでございます。

 

積丹ブルー」(シャコタンブルーとも)という言葉をご存知でしょうか?

 

これは、小樽市の西方約50kmに位置する積丹半島沿岸部の海の青さを指した言葉ですが、そのどこまでも透明で澄み渡る瑠璃色に少し碧がかったような色調は、いつみても本当に美しいと思います。

 

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積丹ブルー

積丹半島景勝地として名高い神威岬積丹岬には遊歩道も整備されていて、積丹ブルーを間近に感じることができます。

突き抜けるような青い空、どこまでも透明な積丹の海、そして、髪にそよぐ汐風に身を任せながら小径を歩いていると、言葉では言い尽くせない感動を覚えます。

 

札幌視点で申し訳ないですが、ドライブには適度な距離と札幌から見て西方にあるというロケーションから、天気の良い日の午後には、ちょっと積丹まで夕焼けを見に愛機を連れ出してみようかなあと思うこともしばしばです。

 

そんな積丹半島から臨む日本海の夕陽もまた格別です。

 

橙色の陽光に照らされた岩礁にも積丹の魅力が詰まっている気がいたします。

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積丹半島の夕焼け

そうして太陽が水平線に溶け込むころ、積丹の海には灯台の火影が浮かびあがり、昼間とは違った趣きを見せてくれます。

 

静かで優しい北海道の夜の始まりです…。

産婦人科医 ドクターまんまのクリニック探訪

 

こんにちは。まんまでございます。

 

今回はホルモンの一種、「プロラクチン」について説明させていただければと存じます。

 

 「プロラクチン(prolactin;以下PRL)」は、主に脳下垂体(下図参照)のプロラクチン分泌細胞という所で産生されますが、子宮筋層、子宮内膜及び妊娠中の卵膜からも作られます。その作用といたしましては乳汁分泌作用が中心ではありますが、他に乳腺の発達、黄体機能調節、精子形成、性行動への関与、免疫機能の調節など多彩な生理作用が知られています。

 

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脳下垂体

 

血中PRL濃度が基準値(検査試薬にもよりますが、だいたい6~30ng/ml)を超えた状態が高PRL血症ですが、産婦人科外来診療では高PRL血症に伴う排卵障害や黄体機能不全等の卵巣機能不全が問題となります。

 

高PRL血症の原因は様々ですが、特に重要なものとして下垂体腫瘍、甲状腺機能低下症及び薬剤性があります。他には特発性と言って原因が不明ということもあります(実際はこの『原因不明』ということが最も多い印象です)。 

また、PRLは生理的変化をきたしやすく、運動、睡眠、ストレス及び食事によって上昇することが知られています。

さらに、月経周期においては排卵期と黄体期中期で高値を示します。 

従いまして、当院ではPRLを測定する際、卵胞期初期(生理の2から5日目)に採血させて頂いております。

 

検査結果が100ng/ml以上の場合は下垂体腫瘍が疑われますので、すみやかに脳神経外科による精査を依頼致します。

甲状腺機能低下症及び薬剤性が疑われた際は原疾患の治療により高PRL血症の改善を図ります。

特に明らかな原因が認められない際は、ドパミン作動薬を投与することで高PRL血症の改善を図ります。

 

ドパミン作動薬投与により速やかに血中PRL値は低下し、およそ90%が3か月以内に排卵を認めると報告されています。そうしてカベルゴリン投薬により卵巣機能の改善を図り、早期の妊娠を目指すことになろうかと存じます。

なお、ドパミン作動薬の妊娠期間中及び長期内服におきましては安全性が比較的確立しており、妊娠中も安全に服用できますが、原因不明の高PRL血症の場合は服用する意義が乏しいので、ご妊娠が判明したら服用を中止するのが原則です(妊娠反応陽性時か、胎嚢確認後かといった止め時のタイミングは施設によってさまざまというのが実情でございます)。

  

産婦人科医 ドクターまんまの北海道の歩き方

新年あけましておめでとうございます。

まんまでございます。

 

以前、倶知安町に住んでいたことがあるのですが、時に近所の河川敷を

散歩しながら気分転換をするのが好きでした。

 

そうは言っても、「馬上、枕上、厠上」ではないですが、ふと歩きながらいろいろと

考えてしまいます。

 

当時、一つの目標を立てていたので、倶知安町を守るように横たわる羊蹄山

仰ぎ見ては、

「目標(ピーク)まであとどれぐらいかなあ。」

「もうあのあたり(五合目)には来てるかなあ。」

「まだまだだろうなあ…。」

などと自問自答していたような気がします。

 

羊蹄山には一度だけ登ったことがあったのですが、山は登るのも見るのも大好きです。

 

冴えた冬陽に輝く、凛とした佇まいの冬の羊蹄。

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冬の羊蹄山

新緑を纏い、力漲る夏の羊蹄。

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夏の羊蹄山

2021年は、また新たな目標を立てました。

ひさしぶりに倶知安町へ行ってみようと思う、そんな新年のはじまりでした。

 

産婦人科医 ドクターまんまの北海道の歩き方

こんにちは。まんまでございます。

 

「ジェットコースターの路」と聞けば

上富良野町町道を思い浮かべる方も多いと存じます。

 

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ジェットコースターの路@上富良野町(2004年)

 

しかし、北海道内には上富良野町に留まらず、適度なアップダウンによる気分爽快な走りと、そのピークから臨む一望千里の風景にこころがとけ込んでしまう、そんな「The・北海道」を体感できる場所が多々あります。

 

旭川空港近くの農道、斜里町オホーツク街道、そして札幌近郊でしたら羊蹄山麓にもそのような場所があったかと記憶しています。

 

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ジェットコースターの路@羊蹄山

 

最近は若者の「クルマ離れ」が叫ばれていますが、今も昔もわたくしはドライブが大好きです。

その昔、「ビッグラン北海道」という雑誌があったのですが、来道して間もない北海道初心者のわたくしは、こちらに紹介されていた道路案内を参考に、知人のクルマやレンタカーを借りては道内日帰りドライブに勤しんでいました。

 

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ビッグラン北海道1991年版

上記1991年版の表紙は「ナイタイ高原牧場」でしょうか?

この画像をネットで見つけた時、日本一の広さを誇る「ナイタイ高原牧場」と、やはり日本一と謳われた「ナイタイ高原牧場特製ソフトクリーム」、そして牧場近郊にある「鹿追スーパーストレート」なる道を目指した思い出が鮮やかによみがえってきました…。

 

そんな、眼光紙背に徹するが如く読み漁った、まさにバイブルとも言える雑誌がもはや絶版とのこと、残念でなりません。

「社会人になり、マイカーを購入したらこのビッグラン北海道で紹介しているコースを全部制覇するんだ!」と意気込んでいた大学生時代を思い出し、今現在、どれぐらいの道を走ることが出来ているのかなあと思います。

 

余談ながら、1993年版のビッグラン北海道で札幌の街並みと共に紹介されていたクルマが人生初の愛機となりました。

今更ながら、よほどこの雑誌が好きだったんだなあと…。

 

あれから30年近く経ちました。

そんな時間の経過も驚きですが、クルマとドライブへの情熱が今も10代の頃と少しも変わっていない、そんな自分にも驚きです。

 

これからも少しずつ、わたくしのお薦めコースを紹介していければと思います。