産婦人科医 ドクターまんまの北海道の歩き方

こんにちは。まんまでございます。

 

東大雪アーチ橋群というのをご存知でしょうか?

 

これは、上士幌町から三国峠に通じる国道273号線沿い、とりわけ糠平湖周辺に点在する旧国鉄士幌線の線路跡に残る橋梁群のことで、十数もの橋が今もひっそりとたたずんでいます。

国道に車を止め、線路跡とおぼしき原生林の合間を少し歩いてみると…古代遺跡を思わせるアーチ橋を目にすることができます。

 

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第五音更川橋梁

鉄橋ではなくコンクリート製のアーチ橋ということからでしょうか、周囲の自然とうまく溶け込んでいるその姿には、「かつてここは線路だった…」という郷愁感も重なって、言葉を失うような感動を覚えます。

とりわけ、「タウシュベツ川橋梁」は十一連のアーチが美しいだけでなく、糠平湖にかかる糠平ダムの水が少ない1月頃から湖面に姿を現し、水位が上昇する6月ごろから湖底に沈み始め、そして10月ごろには完全に水没するという神秘性から、「幻の橋」と言われています。

そんなタウシュベツ川橋梁に一度だけ訪れたことがあります。

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2005年9月のタウシュベツ川橋梁

訪問したのは2005年9月でしたが、水没のため一つのアーチさえ見ることが出来ませんでした。

これを書いているのは2020年10月1日ですが、Webで2020年9月28日の姿を見つけました。

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2020年9月のタウシュベツ川橋梁

こちら、わたくしが撮影した2005年当時の写真とほぼ同じ場所から撮影していると思われます。

年によって、その姿の移ろいが異なるというのも素敵ですね。

 

さて、2005年当時は写真の如く、橋のすぐ近くまで簡単に行くことができました。

今は、タウシュベツ川橋梁に続く道もゲートで閉ざされ、その姿は展望台と呼ばれるかなり離れた場所から眺めるのが原則のようです。

しかもこのタウシュベツ川橋梁は劣化が進み、いつその美しい形が失われてもおかしくない状況だそうです。

文字通り「幻の橋」となりつつあるタウシュベツ川橋梁…。

 

少しでも多くの方に、その姿を目に焼き付けていただきたいです。

産婦人科医 ドクターまんまの北海道の歩き方

こんにちは。まんまでございます。

 

三角点というのをご存知でしょうか?

三角点とは三角測量に用いる際に経度・緯度・標高の基準になる点で、位置の基準として利用されるだけではなく、地図の作成や都市開発に大きな役割を果たすほか、災害復興に寄与したり地殻変動を探るデータの観測点としての役割も果たします。

 

そんな三角点には一等から五等まであるのですが、とりわけ一等三角点は明治から大正初期にかけて選定されたという歴史観に、25キロメートル又は40キロメートル間隔で設置されているという稀少性も相まって、旅の目的地として取り上げられることも多いと聞きます。

 

さて、その一等三角点ですが、自分の生活圏にあるのかなあとかなんとか調べてみますと、見慣れた地名がヒットしました。

 

そこで、せっかく近くにあるのだからと訪れることにしたのが、こちら、三角山(札幌市西区山の手)です。

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三角山

 

三角山の登山口まで徒歩30分、登山口から20分で頂上に到達いたしましたが、これまで何度か足を運んでいた場所にも関わらず、そこに一等三角点があると知ると何やら趣きが変わってくるので不思議です。

 

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一等三角点@三角山

三角点の柱石は90㎏もあり、盤石とともにそのほとんどが地中に埋められているようで、見た目の迫力は想像以上です。

 

三角山の一等三角点…頂上に鎮座するその重厚な雄姿をみると、そっと札幌の街を見守ってくれているような気がいたします。

 

産婦人科医 ドクターまんまのコードブルー@空の上

こんにちは。まんまでございます。

 

飛行機内でのドクターコールは国際線で約600フライトに1回…というような

データを見たことがあります。

飛行時間が短い国内線はもう少し稀かも知れません。

そんな中、わたくしが遭遇したドクターコールを紹介させていただければと存じます。

 

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新千歳空港に駐機しているB737型機

 

ある冬の、中部国際空港新千歳空港行きの飛行機内でのことです。

最前列に座っていたので、何やら乗務員の方々が慌ただしく相談し合っているなあと

眺めていたのを記憶しています。

もしかしたらドクターコールか?まさかなあと呑気に考えていたら、はたして医療関係者を募る機内アナウンスが流れてきました。

 

救急医療の経験が豊富というには恐れ多い状況でしたが、こんな時のために医師になったはず…と我さきに乗務員の方に声を掛けさせていただいたところ、「後方にお座りのお客様が、気分が悪いと仰っておられます。みていただけますでしょうか?」とのことでした。どうやら超緊急事態という訳ではないかなと少しほっとしたのも束の間、乗務員の方と連れ立って機内を移動し始めたところ、視界の先になんとなく一般人というには憚られる、そちら系のコワモテの方がお二人ほどお座りになり、お一人が隣に座るもう一人を介抱しているような…。

まさかあのお方たちではあるまい、と祈る様に歩いていましたが、どうやら気分が悪いというのはそちら系のお二人組の片方の方で、改めて見ると顔には無数の傷跡が…。

戦国時代なら武勇の誉れ、切られた傷は主君を守るために奮戦した忠義の甲冑と言ってもいいのかも知れませんが、ここは現代、そのようなお顔をされている方はどんな職業なのかなあと邪推してしまいます。

必死で冷静を装い、まずは緊急性の判断。幸い呼吸状態は安定し、目がうつろではあるも、受け答え可能、見当識障害もなく、極めて簡単な診察ではありましたが脳障害もなさそうでした。

機内では聴診器は騒音のため使えないと聞いていましたが、それでもバイタルサインは是非確認しようと水銀血圧計をお借りし腕をまくったら…若者がお洒落でするようなTATTOというより、倶利伽羅紋紋を彷彿させる、触るのも恐れ多い大層ご立派な彫物が目の前に飛び込んできました。「やはり出たか…」と妙に納得してばかりはいれません。「こちら、触らせていただいてもよろしいでしょうか? 失礼いたします!」と、慇懃に確認してから血圧測定に入らせていただきました。ただでさえ、機内は騒音のため聴診器が大変使いにくいところ、このような状況ですので、わたくしの顔を相当ひきつっていたと思います。

お連れの方が仰るには、名古屋市内で足を滑らせて頭を打った、直後は大丈夫だったけど、飛行機に乗ったら調子が悪くなったとのこと。まさか妙な薬は使ってないですよね?などと確認する余裕などなく、「全身状態は問題ないようです。気圧の低下による一時的な体調不良でしょうか。頭を打ったあと1ヶ月以上経ってから急に異常が出る場合もありますので、この後も気を付けてください。」と説明すると、とても安心して下さったので、そそくさとその場を後にしました。

 

乗務員の方には所見をまとめたメモをお渡しし、「急変したらすぐ呼んでください」と伝えもとの座席に座りました。

本音は、どうか何も起こりませんように…と祈っていたのは言うまでもありません。

そんな祈りが天に通じたのか、その後何事もなく新千歳空港に着陸、順調に駐機場に到着、いつも通りのタイミングでドアが開いたので、「例の患者さんは大丈夫そうでしょうか?」とお尋ねし、一応許可を得てから降機しました。

 

その後しばらくして、ANAからお礼の手紙と1万マイルが送られてきました(座席とAMC会員番号から氏名や住所を判断したようです)。

 

2020年7月現在、ドクターコールは後にも先にもこの一件のみです。

 

これからもたびたび飛行機を利用すると思いますが、次回はいつ、どんな患者さんに巡り合えるのか期待半分不安半分です。

産婦人科医 ドクターまんまの北海道の歩き方

こんにちは。まんまでございます。

 

札幌市にある旭山記念公園(中央区界川)と聞けば、多くの方が夜景を想像すると思います。

実際、展望台(標高137.5m)と市の中心部との距離が程よいからか、

美しく迫力のある夜景を堪能出来ます。

 

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旭山記念公園

しかし、園内には展望台にとどまらず、段状テラスに森の散策路、学びの広場に遊具などがあり、大人から子供まで、四季や時間に関係なくたのしむことが出来ます。

 

わたくしといたしましては、園内の散策路の充実ぶりに複数ある展望スポットから眺める街の景観の違いも相まって、文字通り市内でも屈指の「憩いの場」ではないかと勝手に認定しております。

 

その旭山記念公園へのアクセスですが、個人的にはクルマ一本でしたところ、いつもの短絡思考を改めて徒歩での訪問もこれからは試みたいと思います。

 

例えば旭山記念公園行きのバス(地下鉄東西線円山公園駅よりJR北海道バス「円13 旭山公園線」旭山公園前下車)もありますし、途中下車して、旭山公園通りにある入り口から急勾配を登ってみるのも良いかも知れません。

また、公園の西側には円山西町方面に通じる道もあり、さらには地元の方の「知る人ぞ知る」的な小道もあるようです。

 

木もれ日が眩しい季節になりました。

旭山記念公園で森の声に耳を傾けてみるのもよいかも知れませんね。

 

産婦人科医 ドクターまんまのクリニック探訪

こんにちは。まんまでございます。

 

産婦人科の重要な検査の一つに超音波検査があります。

 

超音波とは人間の耳には聞こえない高い振動数をもつ音波のことです。

この超音波を発生させる装置(プローブといいます)を利用して体内の様子を観察することを「超音波検査」といいます。

そして、婦人科では主に腟内にプローブを挿入する経腟超音波検査を、産科では腹部にプローブをあてる経腹超音波を行います(それぞれ逆の場合もございます)。

 

以下、経腟超音波検査についてご説明いたします。

  

経腟超音波検査では、腟内に挿入したプローブをやわらかく腟壁に押し付け、

そのプローブから出た超音波が、子宮や卵巣に反射して再びプローブへ帰ってくる

(=反響〔エコー echo〕)ことを利用して画像化します。

すなわち、音波の情報を機械が解析し、白黒画像のグレースケール(=所見)として

表現します。

基本的に、硬い組織は「白く」、液体は「黒く」表現されますが、少し時間が経った血液や臓器など柔らかいものは 「グレー」で表現されます。  

なお、経腟プローブの先端の大きさは成人の人差し指くらいです。

そのプローブの先端に清潔な使い捨てのゴムカバーを患者様毎に用意し、慎重に腟内に挿入します。

 

画像のサンプルを見てみましょう。

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図1 子宮

 

 

 

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図2 卵巣


 

上記で「しゃもじ」のように見えるのが子宮(図1参照)、「レンコン」のように見えるのが卵巣(図2参照)です。

 

当院では、内診室に患者様用のモニターを用意し、患者様と一緒に画像を確認しながら超音波検査をすすめて参ります。

また、参考として超音波画像もお渡しいたしております。

 

ご不明な点がございましたら、どうぞ遠慮なくおっしゃって下さい。

 

産婦人科医 ドクターまんまの北海道の歩き方

こんにちは。まんまでございます。

 

北海道でオススメの観光地の一つに層雲峡があります。

 

層雲峡とは、上川町にある柱状節理と呼ばれる断崖絶壁が約24kmも続く渓谷で、

そのハイライトが、銀河・流星の滝から小函、そして大函へと続く断崖です。

昔は石狩川に沿って断崖の直下を国道が走っていたので、それこそ国道を走る観光バスの中からそのダイナミックな景観を楽しむ事が出来たようですが、崩落事故を契機に危険な箇所、逆に言えば柱状節理の迫力を最も強く感じられる箇所をトンネルで迂回する計画が立てられ、果たして現在のような形になりました。

トンネル完成後は旧国道が観光向けに転用され、銀河・流星の滝を鑑賞するための駐車場、さらには小函・大函方面へと続く遊歩道が整備され、徒歩なりレンタルサイクリングなりで羽衣岩や神削壁から大函まで、層雲峡を代表する数々の絶景を目の当たりにすることが出来ました。

しかし、その後も崩落事故が相次いだため、結局層雲峡の特徴と素晴らしさを最もよく実感出来る小函・大函間の遊歩道は完全に通行止めとなり、現在に至っております。

 

そんなわたくしと層雲峡との出会いについて紹介させていただければと存じます。

 

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銀河の滝(左側)と流星の滝(右側)

 

高校(京都市)の修学旅行で初めて層雲峡を訪れましたが、その際は迂回トンネルの工事中でした。

すでに小函を通過する部分は完成していたようで、大函の観光後層雲峡温泉街に向かうにあたり、当該トンネルで小函の主要な部分はあっさり迂回してしまいましたが、小函の一部と銀河・流星の滝は石狩川に沿った国道で通過するような状況でしたので、バスの車内からこれらのエリアを眺めていたのを覚えています。

また、当時は紅葉が美しく、これらだけでも十分層雲峡は魅力的でしたが、修学旅行から京都に戻った後、層雲峡の良さはその柱状節理、特に小函の神削壁(修学旅行時は見れず)にある…というような話に触れ、いつか必ず小函に行くぞとこころに誓ったのでした。

 

そんな層雲峡との再会は北大1学年時の夏に果たすことが出来ました。

層雲峡温泉街からレンタルサイクルを駆り出し、銀河・流星の滝を通り念願の小函へ!

羽衣岩を右手に眺め、緩やかなカーブを曲がると左手に威風堂々とした柱状節理が眼前に迫って来た様は今でもよく覚えています。

 

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層雲峡案内図

これが神削壁…直下から見上げるに、まさに神が削ったと言って過言でもない、その垂直に聳り立つ柱状節理の威容に声を失うような感動を覚えました。

なお、余談ですが当時は心霊スポットで有名な小函大函間の旧国道のトンネルも通過する事が出来ました。トンネルの丁度真ん中あたりに巨大なお地蔵様が安置されていたのを記憶しておりますが、今はどうなっているのでしょうか…(現在はトンネル出入口が完全に閉ざされ中の様子を伺うことは不可能です)。

 

さて、そんな神削壁をどうしてももう一度見たくて、旭川医大在学時に再度訪れた事があります。

 

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再訪時の神削壁と案内板

この3度目の訪問時は、相次ぐ崩落事故のため小函エリアの遊歩道が通行止めになっておりましたので、神削壁の看板も本来の場所から遠く離れた通行止めの遮断機の場所に移設されてしまっておりました(写真は大函方面から眺めていますので、右側やや奥に神削壁、そして左側一番奥、陰になっている壁が羽衣岩です)。その場所から神削壁を眺めることは出来ますが、やはり神削壁は近くから、出来れば真下から眺めてこそだと思います。
 

あの素晴らしい景観を楽しむ日が来るのは難しいかも知れませんが、いつかまた神削壁と再会出来る日が来るとわたくしは勝手に信じております。

産婦人科医 ドクターまんまの「末は博士か大臣か」

こんにちは。まんまでございます。

 

こどもの頃、「憧れの職業は?」と聞かれると、いつも「新幹線の運転士」と答えていました。

 

幼少期、家の近くにあった歩行者専用の新幹線の陸橋(数年前に撤去されてしまいました)に行っては、行きかう新幹線を眺めていたものです。

線路の先、はるか遠方に新幹線のヘッドライトがキラっと光り、スルスルと滑るようにそれでいて高速で近付いてくる新幹線の雄姿…そんな光景を思い出すと、今でも興奮します。

結果的に新幹線の運転士にはなれませんでしたが、乗客として新幹線は見るのも乗るのも大好きです。

名古屋在住時、月に一度の大阪出張や学会等での東京方面への移動が楽しみで仕方なかったです。

新幹線に乗れると思うだけで、もう本当にワクワクします。

 

そんな新幹線には様々な車両がありますが、わたくしは何と言っても500系が大好きです。

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500系@京都駅

500系のこの近未来的なデザインがなんとも言えません。

N700系もスタイリッシュですが、500系こそカッコよさナンバー1かと…。

そんな500系も今では山陽新幹線で「こだま」号としての活躍に限定されているようで、その姿を目にすることが極端に少なくなってしまいました。

 

500系もいずれは引退するのでしょうが、末永く、出来ればいつまでも現役で活躍して欲しいです。